健康情報誌の発行・提供、講演会・セミナーの開催など
講演会・セミナーの開催
各支部では、地方自治体・企業および諸団体と協力して、各種講演会・セミナーを実施し、健康づくりの推進につとめています。
健康増進に伴う知識の普及啓蒙事業の一環として、健康に関連する各地域の自治体、団体等の協力、後援を得て一般国民や自治体、企業等の健康管理者を対象に「健康日本21」の推進と健康管理のあり方等についての講演会・セミナーを実施しています。
健康づくり政策と健康経営の実現に向けて
■吉住氏(厚生労働省 健康局 健康課 女性の健康推進室 室長)
現在、生活習慣病(悪性新生物、高血圧性疾患、虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病)は死亡数割合では約6割を占め、一般診療医療費の総額が28.3兆円のうち、生活習慣病関連で約3割の8.9兆円を占めています(平成25年人口動態統計)。
生活習慣病の多くは、予防が可能とされ、平成25年度から平成34年度までの第二次健康日本21でも、国民の健康増進の総合的な推進を図るべく、医療、介護などのさまざまな分野における支援等の取り組みを進めています。
とくに、日常生活に制限のない期間の「健康寿命」に関しては、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加を目指し、2020年までに国民の健康寿命の1歳以上延伸を目標に掲げています。
そのためには、
@生活習慣病の発症予防・重症化予防、
A社会生活機能の維持・向上、社会参加の機会の増加、
B健康のための資源(保健・医療・福祉等のサービス)へのアクセスの改善と公平性の確保など、それぞれに具体的な取り組みをしているところです。
現在、私が所属しています「女性の健康推進室」についても、少し説明させていただきます。平成27年10月1日に設置された新しい部署で、「女性の健康課題に対する包括的な視点を持ち、生涯を通じた女性の健康支援にしっかりと取り組む」ことを目的としています。実態を把握した上で、人生の各段階に応じて大きく変化する女性の特性に着目して、健康支援に向けた新たなサポート体制の構築を目指しています。
■岡田氏(プール学院大学 教育学部教育学科教授 他)
現代社会は、技術革新が進む中、疾病の形も、食べすぎ、飲みすぎ、吸いすぎ等による生活習慣病から、心身症などの生活・労働環境病、メンタルヘルス不調などの社会環境病へと、移り変わりがみられます。
そんな中で、仕事や職業生活に関する強い不安・悩み・ストレスの状況は、2007年が58.0%、2012年で60.9%の人が不安・悩み・ストレスを感じ、その内容は、職場の人間関係が41.3%、仕事の質が33.1%、仕事の量が30.3%と続いています(平成24年度労働者の健康状況調査:厚生労働省/平成25年9月19日発表)。
つまり、約6割の人が不安、悩み、ストレスを感じ、メンタルヘルス不調を抱えているという現状があり、2015年12月のストレスチェック制度の導入につながっていくわけです。
仕事の量的負荷と上司の支援、同僚の支援を点数化して「仕事のストレス判定図」を作成した例をみてみると、仕事の負荷が適切であっても、上司、同僚の支援が不十分だと、職場のストレス度は高くなります。逆に、仕事量が多くても、上司、同僚の支援が十分だと、職場のストレス度は低くなるのです。
ここで、「経営」という視点を加えた、「会社が元気であるためには、経営と健康の両立が不可欠」に行き着きます。これが、
@元気な従業員であること、
A職場が快適であること、
B経営者が職場環境と従業員の健康に配慮すること、
C従業員、経営者それぞれが健康に気をつけて努めること、
D会社の将来を担う人を育てること、といった「健康経営」となるのです。
ストレスケア、リスクマネジメントに配慮し、環境改善とコミュニケーション構築を実践することが軸になってきます。
現在、この「健康経営」という考え方は、地銀の金融商品や、東京証券取引所における「健康経営銘柄2016」選定など、実際の動きとして現れてきています。
■中家氏(内田洋行 健康保険組合 事務長)
今から5年前に、当健保に着任したときは、財政の逼迫と人的リソース不足で、新たな施策が打てない厳しい状況でした。
平成24年度より保健事業の見直しを始め、平成25年度には保健事業の改革・データヘルス計画を先行実施し、平成26年にデータヘルス計画に加え、コラボヘルス・健康経営の推進に挑し、平成27年度に健康経営推進組織の新設に向けて動き出すのと同時に、新たな7つの保健事業に挑戦しました。そして平成28年度は経営トップの合意を得て、健康経営宣言を行うとともに、グループ会社への普及を促進しています。
「人材」を「人財」と位置づけるウチダグループの考えからすると、社員の健康促進は大きな経営テーマで、健康経営と合致するのです。
■宮嶋氏(TV朝日スポーツコメンテーター、日本女子体育大学 招聘教授 他)
これまで夏冬計17回のオリンピック・パラリンピック、加えて多くの女性スポーツの現場を取材し、先日は、フィンランドのスポーツ事情を取材しました。
今、日本ではトップスポーツを優先させ、2020年の五輪年に向けて選手強化に力を入れていますが、フィンランドでは、スポーツは豊かに生きるための要素。よって、大人の週1回以上のスポーツ実施率が、日本では40.4%なのに、フィンランドは80〜90%とのことでした。
女子長距離選手の骨粗しょう症問題も、お伝えしておきたい点です。タイム至上主義によりダイエットに励み、栄養不足、骨の老化を生じさせているのです。国民の健康づくりを目指したスポーツの方向性を考える時が来ているような気がします。