監修:鎌倉女子大学教授
大澤 繁男先生
大澤 繁男先生
女性に多い貧血
貧血は若い女性に多く、成人女性の約1割が貧血であるといわれています。しかし、貧血の影には、胃潰瘍などによる出血や、そのほかの病気が隠れていることがあります。検査値に異常が見つかったら、「ただの貧血」だと放置せず、くわしい検査を受けることが大切です。
貧血の検査値の見方
ヘモグロビン濃度や、赤血球数が基準値より少ない場合に貧血と診断されます。貧血の種類や原因をくわしく知るためには、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値(血液中に占める赤血球の容積の割合)から算出される、MCV(平均赤血球容積)、MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)を見ます。MCVは赤血球の大きさを表し、MCHCは個々の赤血球に含まれるヘモグロビン濃度を表します。
【貧血の検査の基準値】
※MCV=ヘマトクリット(%)/赤血球数(106/μl)×10
MCHC=ヘモグロビン(g/dl)/ヘマトクリット(%)×100
■ヘモグロビン濃度(Hb) | |
男性 | 14.0〜18.0g/dl |
女性 | 12.0〜16.0g/dl |
■MCV(平均赤血球容積) | |
男性 | 86〜104f1 |
女性 | 84〜102f1 |
■赤血球数(RBC)(平均値:男性470 女性430) | |
男性 | 410〜530万個/mm3 |
女性 | 380〜480万個/mm3 |
■MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度) | |
男性 | 31.3〜36.6% |
女性 | 29.7〜36.2% |
鉄欠乏性貧血
鉄不足でヘモグロビンの量が減り、赤血球が小さくなってくるので、MCVとMCHCが低下します。
・巨赤芽性貧血……赤血球が大きくなるのでMCVが増加します。
・再生不良性貧血、溶血性貧血……MCV、MCHC値はともに正常です。