監修:鎌倉女子大学教授
大澤 繁男先生
大澤 繁男先生
たんぱく尿、血尿は腎臓の赤信号
健康診断での腎機能の検査は、尿検査で、たんぱく尿と血尿をみます。健康な人ではたんぱく質は濾過されたり再吸収されたりして尿中に出ることはありません。なお、健康な人でも、発熱時や激しい運動をしたときなどに尿にたんぱくが出ることがありますが、この場合は心配ありません。血尿は、尿中に赤血球がもれ出したことをいいます。たんぱく尿や血尿があったときには、精密検査をして原因を見つけることが大切です。
腎機能値の見方
腎機能検査では、血液中の尿素窒素(BUN)、およびクレアチニンを検査します。尿素、クレアチニンはたんぱく質の分解物で、本来は尿中に排泄されるものです。腎機能が低下すると、排泄が不十分となるため血液中に増加します。より正確に腎機能を知るためには、クレアチニンクリアランスを求めます。これは糸球体濾過値の測定法のひとつで、1分間に何ミリリットルの血液を濾過したかがわかります。
【腎機能検査の基準値】
■尿検査 | |
蛋白尿 | 尿蛋白足性(-) |
血尿 | 尿潜血反応(-) |
■血液検査 | |
尿素窒素(BUN) | 5.0〜20.0mg/dl |
クレアチニン(Cr) | 0.6〜1.2mg/dl |
クレアチニンクリアランス(CCr) | 80〜130ml/分 |
早期発見・治療が大切
腎臓病で透析を受けている患者は増加傾向にあり、いまや20万人に達しようとしています。腎臓病を根本的に治す治療法は残念ながらありませんので、早期発見・早期治療が大切です。健康診断で気になる結果が出たら、早めに専門医に相談することをおすすめします。