ホウレンソウ
ほうれんそうの「菠薐(ほうれん)」とは中国語でペルシャのこと。その通り、西アジア原産。ペルシャで栽培されていたほうんれんそうは、東は「西遊記」の三蔵法師も通ったシルクロードを経て、回教徒の手により中国へ。西は北アフリカからイベリア半島を経て、ヨーロッパへと伝えられました。
日本には17世紀、中国から葉に切れ込みのある剣葉の東洋種が渡来しました。そんなほうれんそうの代表的な食べ方といえばおひたし。これは元禄時代の西鶴の小説にも登場します。昭和初期までの日本のほうれんそうは、葉肉が薄くあくの少ない東洋種で、おひたしに向いていたようです。一方、オランダで品種改良が進んだ丸葉が主体の西洋種は、葉肉が厚く、くずれにくいので、バターいためなど高熱の調理に合います。しかし、最近は、東洋種と西洋種を交配させた一代雑種が主流です。一年中栽培され、調理の用途が広がっているといえるでしょう。
ほうれんそうにはビタミンやミネラル類が豊富。これは有名な話ですが、感染症への抵抗力を高め、風邪の予防に役立つビタミンAは、ほうれんそうを1日 100g(5〜6枚分)も食べれば、1日に必要な量を摂取できます。ビタミンCの抗酸化作用も、やはり1日100gのほうれんそうを油で調理して食べるだけでOK。βカロチンの吸収率が高まり、1日に必要なビタミンCを摂取できます。さらに、鉄分は牛レバーに匹敵。貧血の予防に最適です。
また、ヨーロッパでは“胃腸のほうき”といわれ、消化吸収のよい食物繊維が胃腸を整え、便通をよくします。ほうれん草に豊富に含まれるルテインという栄養素が、可視光線から目を守り、目の健康を保ちます。たくさんの効果が期待できる万能野菜です。
ただし、ほうれんそうには、結石の原因になる“シュウ酸”が多いといわれます。これは“あく”の成分で、ゆでて水にさらせば溶け出します。よほど大量に食べなければ大丈夫。最近は、品種改良によってシュウ酸を少なくした生食用のサラダほうれんそうも登場しているので心配はいりません。
ホウレンソウについて
食べ方 | 茹でたり、炒めたり |
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調理法 | 油で調理するとビタミンAの吸収がよくなる |
主な成分 | カロチン、ビタミンB1・B2・C・K、鉄、カリウムなど |
主な作用 | 貧血、ガン予防、肝機能改善、風邪予防、高血圧、増血効果、止血効果など |