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平成23年度「健康セミナー」ダイジェスト メンタルヘルス対策の実態とその取組みについて
健康情報誌の発行・提供、講演会・セミナーの開催など
講演会・セミナーの開催
各支部では、地方自治体・企業および諸団体と協力して、各種講演会・セミナーを実施し、健康づくりの推進につとめています。
健康増進に伴う知識の普及啓蒙事業の一環として、健康に関連する各地域の自治体、団体等の協力、後援を得て一般国民や自治体、企業等の健康管理者を対象に「健康日本21」の推進と健康管理のあり方等についての講演会・セミナーを実施しています。
平成23年度「健康セミナー」ダイジェスト
メンタルヘルス対策の実態とその取組みについて
メンタルヘルス対策の実態とその取組みについて
基調講演
基調講演では、厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課課長の鈴木幸雄氏が「職場におけるメンタルヘルス対策の実態と取組み」と題して、産業保健制度、メンタルヘルスを巡る現状、職場におけるメンタルヘルス対策、自殺対策、今後のメンタルヘルス対策について説明。『職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告』を受けて、@定期検診に併せてストレスに関連する労働者の症状・不調を医師が確認する、A面接が必要とされた労働者は産業医と面接を行い、ストレスに関連する症状や不調の状況、面接が必要かについて事業者に知らせない、B産業医等は労働者との面接の結果、必要と判断した場合は労働者の同意を得て、事業者に時間外労働の制限や作業の転換等について意見を述べる、C事業者は労働時間の短縮等を行う場合には産業医等の意見を労働者に明示し、了解を得るための話し合いを行う、という新しい枠組みを紹介しました。
ショートレクチャー
ショートレクチャーでは、医事評論家の行天良雄氏のコーディネートのもと、大阪ガス叶l事部健康開発センター統括産業医の岡田邦夫氏、医療法人社団大坪会三軒茶屋病院院長産業医の大坪公子氏、新日鉄ソリューションズ叶l事部健康・厚生グループシニア・マネージャー保健師の椎葉倫代氏、社団法人日本医師会常任理事の三上裕司氏の4人のパネリストが、産業医、嘱託産業医、保健師、医療提供者、それぞれの立場から現状報告や今後の展望などを話しました。大阪ガスの岡田氏は、メタボ男性は、そうでない男性に比べて、うつになる恐れが2倍以上である例をあげ、前年度のチェックとの差を見て、早めに対応することの重要性を説明。定期健康診断時に実施される職業性ストレス簡易調査票を例示して、ストレスによって起こる心身の反応とストレスの原因として考えられる因子の各項目について説明した後、結果を示したレーダーチャートが小さいほうが問題であることを紹介しました。ストレス症状を有する者への面接指導制度について、新しい枠組みの導入後の産業医と保健スタッフ、精神医の役割の構築が重要であるとの方向性を示しました。
三軒茶屋病院の大坪氏は、嘱託産業医として、さまざまな企業で職場復帰支援を行ってきた立場から実例を紹介。試し出勤制度(リハビリ出勤制度)によって職場復帰の準備を行い、高い職場復帰率をもたらすことを示し、産業医が直接情報を取れるようになり、正しい判断に基づくアドバイスができるようになったことが大きいと話しました。そして、職場復帰支援に必要な書類を示し、復帰準備と復帰後の産業医による個人面談について報告し、家族の協力の重要性についても語りました。
新日鉄ソリューションズの椎葉氏は、会社全体で取り組む現場が主役のメンタルヘルス対策について紹介。「倒れない・倒さない会社」を掲げ、地味な取り組みとイベント的な取り組みを報告。かつては本人任せであったメンタルヘルス対策に専門スタッフを入れ、採用からすべてに渡って対応する現状について話し、家族と上司を交えた三位一体の対策の中でも、要となる上司との直接コミュニケーションの推進が重要であることを示しました。
三上氏は、日本医師会としてのうつ対策、自殺防止対策について、「自殺防止マニュアル」の刊行と地域医療における自殺防止研修会の開催について説明。それに続き、内閣府の「睡眠キャンペーン」について触れ、2週間以上継続する不眠の早期発見が、うつの早期発見・早期治療、ひいては自殺予防につながることを示しました。さらに、地域における先駆的な取り組みである富士モデル事業、大阪G‐Pネットワークなどを紹介しました。
その後、フロアとの質疑応答に対して、パネリストが返答しました。厚生労働省による『職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告』が発表されてからメンタルヘルス対策への意識が高まり、心の問題に対して健康づくりに関わる、すべての人が、それぞれの立場で取り組むことの重要性を参加者ともども確認する機会となりました。
最後に日本健康倶楽部の山本茂理事長が挨拶し、健康セミナーは盛会のうちに幕を閉じました。